Perspective10: After the Show

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10月15日に渋谷ヒカリエ Hikarie Hall Aで開催されたyoshio kubo 15 S/S Runway show。「Fishermans Athletics」をテーマに据え、冒頭にはシークレットゲストとして女優・夏木マリ氏も登場した今回のショーについて、デザイナー久保嘉男が振り返る。


今回は、「Fishermans Athletics」をテーマに、漁師とスポーツをミックスしたコレクションを発表しました。冒頭には女優の夏木マリさんに登場して頂いたのですが、この演出からもわかるように、今回は特に演劇の舞台をつくるようなイメージでショーを構成していったことが大きなポイントでした。
杖や旗、ロープなどの小道具、海の男をイメージさせるダーティなメイク、袖をロールアップするなど熟れた着こなしを表現したスタイリングなど、これまで以上に各モデルのキャラクターを押し出すことを意識しました。

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yoshio kubo 15 S/S Collection

準備段階で行うフィッティングでも、モデル一人につき30分~1時間といつも以上に時間を取って望月(唯)さんとスタイリングを考えていきましたし、私服として着用していた帽子があまりに似合っていたモデルがいたので、それをそのままショーで使うなど、いかにそれぞれの個性を引き出すかということを重視しました。
当日のリハーサルでも、杖など道具の持ち方や歩き方などを細かく指示していきましたし、それぞれに自分が演じる漁師像を意識してもらうように強く伝えたこともあり、いつも以上にモデルの表情に感情がこもっていたと思います。

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また、ヘアのABEさんは、モデル全員につけることを想定して、さまざまな種類の髭を用意してくれていましたし、メイクのWADAさんも、「顔が汚れた漁師」という事前にお伝えしていたイメージを、ファッション性を保った絶妙なさじ加減で完璧に表現して頂き、さすがだなと驚かされました。
演出の辻井(宏昌)さんやスタイリストの望月さん、そして、今回音楽を担当して頂いた松浦(俊夫)さんも含め、各分野のプロフェッショナルたちが、最高のパフォーマンスを発揮してくれたショーだったと思います。

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そして、なんといっても今回は夏木マリさんが、冒頭から観客を一気にショーの世界観に引き込んでくれたことが非常に大きかったと思います。会場の空気を瞬時に変えてしまうあの存在感は、やはり夏木マリという女優さんにしかないものですし、本当に感謝しています。
実は当初、冒頭に夏木さんが登場した後に、一度みなさんにご紹介をしてから、ショーがスタートするという流れを考えていたんです。ところが、リハーサルの時に夏木さんご本人から、それを入れると現実に引き戻されてしまうから、何も言わずに去っていった方がいいんじゃないかと提案があったんです。実際にその通りだったと思いますし、自発的に色んな演技を考えてくれたり、会場の空気をつかむ力はさすがだなと、改めてその凄さを感じました。

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yoshio kubo 15 S/S Collection

ファッションショーというのは、洋服だけが大切なのではなく、さまざまな分野の人たちが集まって創り上げていくということが重要です。僕自身は、ランウェイをリアルタイムで見ることはできないので、いつも打ち上げの時に初めて映像で見るんですね。そこで反省をしたり、自分なりの評価をしていくわけですが、それ以上に、ショーに携わり、打ち上げに集まってくれた人たちが満足した表情をしてくれているということが実は最も大切な評価基準で、そういう意味でも今回のショーは成功だったのではないかと思っています。

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The End