Friends02: Tadashi Mochizuki Interview Part.2

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yoshio kuboにゆかりのあるクリエイターたちを紹介していく「FRIENDS」。前回に引き続き、yoshio kuboのショーのスタイリングを手がける望月唯氏とともに過去のランウェイショーを振り返りつつ、開催を直前に控えた14 S/S Collectionについても話が展開された。

久保:望月さんはこの仕事をする前に目黒雅叙園で土方の仕事をしていたという話を前に聞きましたけど、そういう人っていまは少ないですよね。当時はまだスタイリストという仕事がそこまでメジャーではなかったと思うし、その頃からずっと続けられているのは本当に凄いですよね。デビューしてからずっと変わらないコンセプトのようなものはあるんですか?

望月:信念は曲げないでやっているけど、時代の流れやトレンドというのは常にあるから、ある程度広く色んなものを見て、あまり意固地にならないようにはしてる。もちろん自分が好きなものはそんなに変わらないんだけど、時代に逆行しても仕方ないなというのはよく思うね。最近、また若い人たちと仕事をすることが増えていて、それも自分の中で面白いなと感じていて。15歳くらい年が違う人たちと自分の目線はおそらく全然違うものなんだけど、リスペクトしてくれている感じも凄く伝わってくるし、一周してまた面白くなっている感覚がある。

久保:望月さんは人脈も広いですが、ショーに関しては音楽面についてもコントロールしてくれていますよね。僕が音楽にそこまで詳しくないからそれも凄く大きいんです。音楽に関しても色んなエピソードがあるんですけど、以前にDJ BAKUさんにショーの音楽をお願いした時、直前になってフィナーレはジャズがいいんじゃないかと望月さんが言い出して、それが見事にハマったなんてこともありましたよね。

望月:あの時はたまたまBAKUさんがジャズも持ってきてくれていたから良かったよね(笑)。やっぱり洋服にしても音楽にしても、現場で見たり聴いたりした時に、空気感と合っていないと感じることがあるんだよね。

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DJ BAKU氏が音楽を担当したyoshio kubo 13S/S Collection。

久保:直前でそういうことを言うから周りは大変なんですけど(笑)、本当に的確なんですよね。望月さんは僕の作る洋服なんかにしても、「作り込み過ぎなんじゃない?」とか「これ誰が着るの?」とか、良い感じで意見を言ってくれるのも好きなんです(笑)。上から偉そうに言う感じでは全然ない。

望月:たぶんデザイナーとスタイリストでは洋服を見る目線が違うんだよね。久保くんの場合は当然、生地、パターン、縫製などすべてがインプットされているけど、僕はパッと見た時のイメージでスタイリングを考えていくわけだからね。

久保:洋服を作る時はある程度スタイリングもイメージしているんですけど、望月さんがスタイリングしてくれることで全然違うものになるんですよね。以前に望月さんから僕の好きなイメージでショーをやってみたらと言われたことがあったんですけど、その時にあまりうまくいかなかったんですね。どこかでファッションデザイナーとしてカッコつけようとしている自分を感じてしまって、何をやってんねんと。その時に自分のオリジナリティが何なのかということを凄く気づかせてもらったところがあって。やっぱり自分はメチャクチャおもろいことをやりたんだと。

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yoshio kubo 13-14 A/W Collection

望月:久保くんはよく面白いことをやっていればみんな見てくれるということを言っていて、本当にそうなんだよね。みんなでワイワイやっている感じを続けていれば人は来てくれるし、ニュースにもなる。面白くないショーを続けていても誰も見に来てくれないし、こっちが面白いだけでも相手に伝わらないと意味がないもんね。でも、ショーには正解というものはなくて、いつも派手にやればいいというわけではないし、シンプルだからいいわけでもない。特にファッションというのは、イケイケの人からコンサバな人までみんな感覚が違うから、どう見極めてバランスを取っていくかということなんだよね。

久保:僕は、どれだけ人の記憶に傷を付けられるかというのが大事なのかなと思うんです。もちろん洋服が売れる売れないというのも重要だけど、せっかくファッションをやっているのにそれだけだったら面白くない。洋服というのは、その服を着るという意味では瞬間的なものだけど、「久保嘉男が初めてこういうことをやった」とか、最終的には歴史的な発明をしたいんですよ。これだけたくさん洋服を作っているんだから、いつか何か出るんじゃないかと(笑)。最後になりますが、今回の洋服を見てどう感じましたか? ショーはどうなりそうですかね?

望月:今回も派手で楽しい感じになりそうだよね。あと、40代の人でも着られそうな洋服が増えていたから自分的にもうれしいなと。音楽もうまくハマればかなり面白くなりそうだし、ショーとしてもかなり良くなるんじゃないかな。

Tadashi Mochizuki(eightpeace) Homepage: eightpeace.net
HOWL Homepage: howl.jp

The End

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