Details04: Selected Items from Latest Collection

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アクセサリーブランド「HEAVY&CO.BLACKSMITH」とのコラボレーションという形で発表したyoshiokubo 2016-17 A/W Collection。アクセサリー(=付属)と洋服の融合をテーマにつくられたアイテム群の中から、コレクションを象徴する6アイテムについて、デザイナーの久保本人がデザインのポイントを語る。


BLACKSMITH JACKET
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架空のアクセサリーブランド「HEAVY&CO.BLACKSMITH」とのコラボレーションという形で発表した今回のコレクションで特にチャレンジしたかったのは、ファスナーなどの付属品を、ある意味洋服よりも目立たせることでした。金属という異素材をいかに洋服の中にミックスしていくかが肝だったのですが、このジャケットでは、海外のおみやげなどによくあるダイス型のキーホルダーのようなアクセサリーをつけることにしました。ただ、それを装飾のためだけにぶら下げるのではなく、よりシャープなデザインにしたものを、レースを締める重しのように取り付け、付属としての機能を持たせていることがポイントです

CHINO WIDE PANTS
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ここ数シーズン、パンツに関しては、腰回りがゆったりしていて、裾に向かってシェイプしていくテーパードパンツやクロップドパンツなどが多かったのですが、今シーズンはこれまでとは違うシルエットにチャレンジしようと考え、このスーパーワイドパンツをつくりました。デザイン自体はシンプルなのですが、ベルボトムのような形にはしたくなかったので、これまで同様に裾に向かって少しシェイプしたパターンにしました。ワイドパンツと言えども、どんな体型の人が履いてもスッキリ見えるようなシルエットにこだわっています。素材は綿なのですが、チノパンのようなラフなイメージではなく、エレガントに履くことができると思います。

PACKABLE COAT
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今回のコレクションを象徴するユニフォームのようなものがつくりたいと考えてデザインしたのがこのコートです。最近は、シンプルなアイテムをリラックスして着こなす風潮がありますが、その中で自分ができるアプローチとして、いかに縫製を少なくして洋服がつくれるかということにトライしてみました。それを実現させるためにパターンには徹底的にこだわったのですが、例えばフードは単純な円形のパターンになっています。それによってフードをかぶると先が尖って見えるシルエットになるのですが、これは中世の魔女が着ていたような服に近いイメージで、現在のフードのルーツを垣間見れた気がしました。このコートはオーバーザイズ気味につくっているのですが、袖などをロールアップする仕草もカッコ良いかなと思っています。

SCATTER CARDIGAN
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スプラッシュ柄のアイテムはこれまでにも何度かつくってきていますが、当初から今回のショーは派手に見せたいという思いがあり、すぐさま頭に浮かんだのがこの柄でした。ただ、それを単にプリントで表現するのではなく、ジャガード織りのニットとしてつくることで上品さを演出することを意識しました。 また、このテキスタイルはリピートの幅が非常に大きいので、同じ柄が繰り返されているように見えないことも特徴です。今回のコレクションでテーマにしている「付属」については、カーディガンの定番であるボタンを使わずに、ベルトによる新しいクロージャーの形を提案しています。

DRAPE SHIRTS
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今回のショーでは、このロングシャツをレイヤードスタイルで見せましたが、自分がデザインするアイテムは、シャツに限らず常に重ね着をした時にも綺麗に見えるように心がけています。ロングシャツは最近よくつくるアイテムなのですが、いまではシャツをパンツの外に出して着ることが当たり前になっています。それによって裾も重要なデザインの要素になっているので、このシャツの裾についても、特にフロントからサイドにかけてのカッティングにこだわり、前後左右どこから見ても美しく見えるように意識しました。また、腕の部分にDカンでつけた「HEAVY&CO.BLACKSMITH」のワッペンは、取り外すことができるようになっています。

LACE-UP BLOUSON
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これは一見するとスタンダードなMA-1に見えますが、後身頃の方が長くなっていて、やや裾広がりのシルエットが特徴的です。「付属」というテーマについては、脇のシルエットを調節するレースにアクセサリーを取り付けているのがポイントです。今回のコレクションでは、このブルゾンの他にも同様のアクセサリーを取り入れているのですが、装飾的な要素だけではなく、それ自体の重さによってレースが締まるという機能面での効果もあり、従来の付属やアクセサリーの概念とは異なるものが提案できたのではないかと思っています。洋服のデザインにおいて、重しという発想を持ち込んだことは、自分たちにとっても非常に新鮮な経験になりました。

The End