Friends03: Shunichi Mugita Interview Part.1

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yoshio kuboにゆかりのあるクリエイターたちに迫る「FRIENDS」。今回は、「流行通信」「FASHION NEWS」「WWD」などのファッション媒体に在籍し、現在は「QUOTATION FASHION ISSUE」のファッションディレクターを務めている麥田俊一氏に、デザイナー久保嘉男が逆取材を行った。

久保:麥田さんはどういう経緯でいまのような仕事をするようになったんですか?

麥田:新卒で前職の会社(現・INFASパブリケーションズ)に入り、服飾業界紙の記者からスタートしました。卒業前からバイトで写真の整理などをしていたんですが、正式に入社してからは普通の会社の新入社員と同じように、朝は最初に来てゴミ捨てやトイレ掃除などもしていました。当時はまだデジタルではなかったので、みんなの手書きの原稿の控えを取ったり、校正の仕事などをしながら、取材などにもひとりで行かされていました。

久保:最初に行った取材はまだ覚えていますか?

麥田:香港アパレルフェアか何かのイベントだったと思います。香港の服飾メーカーや日本の商社などが集まるイベントで、招待状だけ渡されて、とにかく取材をしてこいという感じでした。それも教育の一環だったんだと思います。

久保:麥田さんは日本で最も多くショーを見てきた方の一人ですよね。僕が麥田さんと出会ったのも、ショーを見に来て頂き、インタビューしてもらったのがきっかけですが、人生で最初に見たショーは何なんですか?

麥田:うーん、…ちょっと思い出せないですね。でも、当時はまだショーを見て記事を書かなくてはいけない立場ではなく、勉強のために行ってみなさいという感じだったことは確かだと思います。

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麥田氏がファッションディレクターを務める「QUOTATION FASHION ISSUE」。

久保:これまで麥田さんが見たショーで印象的だったものを教えて下さい。

麥田:それはたくさんありますよ。アルファベット順で言うと、アレキサンダー・マックイーンのショーと、その後バックステージでさせてもらったインタビューはやはり印象に残っていますね。他にもゾクゾクしたり、記憶に残っているショーはたくさんありますが、以前にパリでその日最後のショーを見終えて、地下鉄で電車を待っていたことがあったんですね。その日は、くるぶしくらいまであるステンカラーコートを着て、ノートを一冊脇に抱えていたんですが、気づくとフランス人の老婆がこっちに歩いてきているんですよ。なんかイヤだなと思いながらそのまま立っていたんですが、私の前で十字を切って祈り出したんです(笑)。きっとショーを見て凄く感動していて、落ち着いた表情をしていた私を見て、その老婆は何かを感じたんでしょうね。ショーというのはそのくらい人を高ぶらせたり、影響力を与えるものだと思います。

久保:それは面白い話ですね(笑)。東京コレクションというのも当時からあったんですよね。

麥田:ありましたよ。私はまだ学生でしたが、DCブランドの時代だった80年代なんかは参加ブランドもとても多かったんです。

久保:当時から日本のショーでも外国人モデルが使われていたんですか?

麥田:使われていたと思いますよ。ただ、こういう仕事をしているのに良くないと思うんですが、私はほとんどモデルの顔は見ていないんです(笑)。でも、当時はスーパーモデルの最後の時代で、その存在感はやはり凄かったですね。短いキャットウォークの上でそれぞれのモデルが自分が一番だということを強烈にアピールしていて、それによって洋服もさらに引き立つんですね。そういう時代を見られたのは良かったと思います。

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Photo: 佐藤修造

久保:スーパーモデルの話も久々に聞くと凄く面白いですね。パリなどに取材で行く時は、どんなスケジュールで動いているんですか? やっぱり昼間はショーの取材で動き回って、夜中に原稿を書くという感じなんですか?

麥田:当時働いていた「WWD」は週刊だったのである程度まとめて書いていましたが、Webが立ち上がってからは毎日書くようになりました。メディアの仕事で来てらっしゃる方たちはやはり同じような感じでしたし、フォトグラファーにしても、その日のうちに撮った写真を整理してという毎日ですよね。

久保:パリやニューヨークに取材に行くなんて言うとカッコ良いと思われたりもするでしょうが、実際はそんなに華やかなものでもないですよね(笑)。

麥田:あまり苦労自慢はしたくないですが、もっと地べたを這いずり回っているような感じですよね(笑)。夢のある場所でラグジュアリーブランドの取材をしているわけですが、常に時間に追われているから「今日はご飯が食べられるかな」とか、夢とはかけ離れた日々の連続ですね。

to be continued…