Perspective01: Exhibition in PARIS

paris

デザイナー久保嘉男が、ブランドを形作る世界観やフィロソフィーをさまざまな角度から語る「Perspective」。今回は、現在yoshiokubo.jpのトップページでもヴィジュアルを展開しているパリでの展示会について紹介する。


paris1

パリで展示会を始めたのは2012年春夏からなんですが、当時はすでに東京でショーを何度か重ねていて、そろそろ海外にも持って行きたいと考えていた時期でした。パリでは、東京で発表するショーに先駆けて、バイヤーさん限定でコレクションを見せているのですが、この展覧会に合わせて、以前からずっと一緒に仕事をしている河合俊哉というカメラマンにお願いして、ルックを撮り下ろしているんです。東京のショーでは、いつも望月 唯さんにスタイリングをお願いしていますが、パリに持っていく時は、ショーよりもリアリティが強いルックを自分で組んでいます。

いまyoshiokubo.jpのトップページで紹介している2013秋冬の展示会用ルックなんですが、東京のショーで発表する前ということもあり、枚数限定で出力したものを展示会場で貼っているだけなので、日本ではあまり見る機会がないヴィジュアルです。東京のショーが終わってからカタログなどを作ることはせず、毎回このようにショーの前にルックを撮り下ろしているんですが、これはなかなか珍しい形だと思います。このシーズンでは、クラシックな背景とのコントラストによって、ビビッドでグラフィカルなイメージを伝えたかったのですが、毎シーズン自分が表現したい雰囲気をシンプルなルックで見せるということは、ブランドを始めた頃から続けていることです。

paris2

パリで展示会を始めてから今年で3年目になります。初心忘れるべからずではないですが、東京でブランドを始めた時のような感覚に改めて戻れたということが、パリに行って良かったと感じることです。東京で10年くらいブランドをやっていると、ある程度認知してくれる人たちも増えて、そのなかで好きな人、嫌いな人がいるという状況だと思うんですが、海外ではまったく見たことがない人たちも多い。そこに対していかにアプローチをしていくかというのは、いま日本でやっていることとはまた違う感覚なんです。

東京でブランドを立ち上げた直後も、いかにアピールをしていくかということを模索した時期が続いたのですが、今度はそれを世界レベルで考えることができる。これはメンタル的にもとても良かったと思っていますし、日本にいるだけではできなかったことなんです。こうしてWebなどでも発信はしていますが、やはり実際に物事を起こしていかないと人は見てくれない。それがパリに行っている一番の理由です。

The End