去る7月20日、東京・秩父宮ラグビー場で2017年春夏シーズンのランウェイショーを発表したヨシオクボ。デビュー以来続けてきたファッションウィーク公式スケジュールでの発表をやめ、同時にブランドロゴを変えるなど、これまでとは異なる状況の中でショーに臨んだデザイナーの久保が、今回のコレクションにかけた思いを綴る。
先日発表した2017年春夏コレクションは、初めてファッションウィーク期間外に行ったショーで、また、このタイミングに合わせ、これまで使ってきたブランドロゴも一新しました。ただ、僕の中では、リニューアルという意識はあまりなく、これまで12年間取り組んできたことを、ブランドの名前や自分たちの思い入れなどを極力取り払ったフラットな状態で見てほしかったという思いがありました。
僕がまだニューヨークにいて、自分でブランドを始めようと思った時に一番したかったのは、他のメンズウエアにはないディテールの面白さ、新しさを表現するということでした。そうしたブランドの根本の部分をしっかり見て頂くために、今回のショーではシンプルで日常的なトーンの洋服の中に、自分の強みを盛り込んでいくということを強く意識していました。
10年以上ブランドを続ける中で、いつの間にか自分が「色」に頼って洋服をデザインするようになってしまっていたんじゃないかという思いがありました。だからこそ今回は、あえて黒や濃紺、白などシンプルなカラーパレットで勝負することで、洋服のディテールを追求したかったんです。その結果、白いシャツにデニムパンツなど最近のコレクションではあまりなかったベーシックなスタイルの中に、自分の表現を盛り込むことができたのではないかと思います。
今回のショーでは、フィナーレのタイミングで花火が上がりました。最初に現場に下見に行った時に、ちょうど神宮の花火大会の時期なんじゃないかと思い、秩父宮ラグビー場の方に聞いてみたのですが、残念ながら開催時期は違ったようでした。でも、ちょうどすぐそばの神宮球場で野球の試合があり、5回裏に花火が上がるということがわかったんです。そして当日、ショー直前の19時の段階で4回裏になっていたこともあり、もしかしたらという思いがありました。そして、まさにフィナーレのタイミングで花火が上がり、これまでの中でも特に思い出に残るショーになりました。
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