Perspective11: Hair Styling for the Show

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「DESERT AND DRILL」というキーワードとともに、砂漠のスポーツをテーマにしたコレクションを発表したyoshio kubo 15-16 Fall / Winter Runway Show。複数のモデルが同時にランウェイに登場する変則的な演出とともに注目を集めた、モデルたちの個性的なヘアスタイルについて、デザイナー久保嘉男が振り返る。


最近のショーでは、リズム感を重視した演出を続けてきたのですが、ブランドが11年目に突入した今回は、ある意味見る人を裏切るような新しい見せ方ができないかということを考えました。演出の辻井(宏昌)さん、スタイリストの望月(唯)さんたちといつものように話し合いを重ねた末に、複数のモデルが同時にランウェイを歩いてくるという変則的な演出で、いつもとは違う「間」をつくったのが今回のショーでした。

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yoshio kubo 15-16 A/W Collection

ファッションショーでは、ヘアも重要な要素として考えているのですが、今回は、フューチャリスティックなアプローチにしたいということがまず始めにあり、それをもとにヘアのABEさんと、辻井さん、望月さん、僕の4人で話し合っていきました。未来的なイメージというのをカラーリングで表現するのではなく、現代の人たちではなかなか想像できないような次元を超えたスタイルにしたいという思いがあり、みんなでさまざまな映画や写真などからイメージを出し合っていったのですが、その中で、映画「フィフス・エレメント」に登場するゲイリー・オールドマンのヘアスタイルが大きなヒントになりました。

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ヘアというのは、自分が洋服で表現したいことと、ランウェイを歩くモデルを結びつける上で重要な役割を持っています。また、10分間という短い時間の中で、ショーの世界観をアーティスティックなアプローチで表現しようとした時にヘアは欠かせないものですし、同時に、お客さんに楽しんでもらう上でも大きな要素のひとつだと考えています。経験豊富なABEさんの仕事というのは常にブレがなく、ファッション性とエンターテインメント性を両立させた絶妙なスタイルに落とし込んでくれるんです。

ABEさんとの仕事でいまでも忘れられないのは、ブランド2シーズン目のファッションショーです。この時は、髭を三つ編みにしたり、首に巻いたりとさまざまなアプローチで独特の世界観をつくり込んで頂きました。普通の人ではなかなか思いつかないABEさんのアプローチというのは、常に新しいディテールをつくっていくというブランドの目指すところとも重なり合うものだと感じています。

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yoshio kubo 09-10 A/W Collection

一見すると違和感があるようなことをあえてしていくことで、「この洋服はなぜこうなっているんだろう?」と見る人に考えてもらうということは、自分が一貫して取り組んできたことです。それはヘアについても同じで、モデルのヘアスタイルを見てコレクションのテーマをはじめ色々なことを想像してもらえたらと思っていますし、あまり遊びを入れることが少ないメンズのヘアだからこそ、他のブランドがやらないようなことに取り組み、オリジナリティを表現していきたいと考えています。

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yoshio kubo 15-16 A/W Collection

The End