Details01: Fuzzy Tweed Blouson

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yoshio kuboのアイテムの中から毎回1点をピックアップし、その背景や制作意図などについてデザイナー久保が語る新シリーズ「Details」がスタート。今回は、2014-15 F/Wコレクションの中から、ツイードとシャツ地を重ねたブルゾンにスポットを当てる。


ーこの洋服が生まれた経緯を教えて下さい。

レディスのクラシックなジャケットをメンズに取り入れられないかというアイデアがきっかけになっています。メンズウエアとして見せるためには、ネックラインを詰めて、制服のようなイメージに仕立てる必要があると考え、トワルを組んでいきました。シルエット自体はスタンダードなものですが、男性らしいガチッとした肩のラインが出るような洋服が好きなので、自分がつくるジャケットはあえて肩が当たるようにしています。また、このジャケットでは袖を九分丈にしているのですが、レディスライクな洋服を少し小さめのサイズで着るバランス感覚を提案しようと考えました。

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ーツイードの下に別の素材が重ねられている点も独特ですね。

最近は、一枚でコーディネートされているかのように見える洋服をつくることが多いのですが、今回は「スポーツエレガンス」がテーマだったこともあり、生地にはナイロンを使い、サイドにはスリットを入れました。コレクションでは細身のパンツとコーディネートしたのですが、本来は細身のパンツと合わせるのであれば、この洋服のようなAライン気味のシルエットのものより、ストンと落ちたボックス型の方がバランスは良いんですね。でも、今回は傘のようなシルエットを新しいスタイルとして提案したかったということがありましたし、また、このスリットから手を入れる男性の仕草というものを大切にしたかったので、このような形に落とし込みました。

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ージャガード柄もあまり見たことがないようなものですね。

僕らがずっと使わせてもらっている「マリアケント」のジャガードです。レディスジャケットのシルエットだけを取り入れるのであれば、無地のウールなどでも良かったのですが、見るからにレディス用の生地を使ったジャケットを男性でも着られるんだと感じて頂きたかったので、このような素材を選択しました。

ー切り返しもデザインのアクセントになっていますね。

切り返し部分の幅は2.5cmにしているんですが、こうした幅にも自分なりのこだわりがあります。このジャケットはカッチリと見せたい洋服なので、キリの良い2.5cmに設定しているのですが、例えばTシャツなどのネックリブでは1.2cmにするなど、あえてキリが悪い幅にすることもあります。キリの良い数字の方がパターンも引きやすいですし、多くの人たちが生活の中で見慣れているサイズというのも、大体キリの良い数字のものが多いんですね。だからこそ、そのサイズ感を微妙に変えることで違和感をつくり出すことも多いです。

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ーその他にこだわったディテールなどはありますか?

多少のラフさを表現したかったので、カフスとネックラインは切りっぱなしにしました。ただ、荒々しさを前面には出したくはなかったので、あえて1cm多めに生地を取り、縫製後に裁断することで、ほつれの少ないきれいな切りっぱなしにしています。また、ファスナーはオリジナルでつくっているのですが、昔に流行った超合金のような質感にこだわりました。ファスナーを触るという行為に重きを置いたデザインというのをこれまであまり見たことがなかったので、今回は触った時に趣が感じられるようなものにしたいという視点からデザインしていきました。ファスナーの幅も14cmと広めになっていて、ポケットも深く取っているので、男性の手でもしっかり入るようになっています。

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The End