現在、yoshiokubo.jpのトップページでは、先日展示会でパリを訪れた際に足を運んだファブリックメーカー「マリアケント」のアトリエの様子を公開中。今回のPerspectiveでは、ブランド設立以来、長きにわたり仕事をしてきた「マリアケント」の魅力について、デザイナー久保嘉男が語る。
先日、展示会でパリに行ってきた際に、ファブリックメーカー「マリアケント」のアトリエにお邪魔してきました。マリアケントの生地は、僕がニューヨークで働いている時からずっと好きで、自分のブランドを立ち上げたらぜひ一緒に仕事をしたいと思っていた会社なんです。
マリアケントは、もともと高級メゾンのツイードなどをつくっていたと言われているのですが、やはり彼らの魅力は、その非常に優れたセンスです。ただセンスが良いだけではなく、そこにユーモアのエッセンスも盛り込まれているところが素晴らしく、自分たちでは生み出せないようなすばらしいオリジナル生地を毎シーズン膨大につくっているんです。
ヨシオクボでは、極力生地はオリジナルでつくりたいと考えているのですが、唯一マリアケントの生地だけは、そのまま使いたいと思えるほど素晴らしい出来なんです。だから、一緒に仕事をする時は、彼らのアイデアが凝縮された生地を最大限に活かすことを前提に、こちらで多少アレンジしたり、料理をしていくような感覚で取り組んでいます。
(左)yoshio kubo 13S/S Collection、(右)yoshio kubo 13-14F/W Collection
(左)yoshio kubo 14S/S Collection、(右)yoshio kubo 14-15F/W Collection
今回は、次のコレクションのための視察も兼ねて、パリの郊外にある彼らのアトリエを見学させてもらったわけですが、これまでに見たことがないほどの膨大な種類の糸やサンプルがあり、まさに圧巻と言える空間でした。しかも、それまで機械でやっていると思っていた仕事が実はすべて手作業で行われていることがわかるなど、膨大な数の生地が実際にスタッフの手からつくり出されている光景を目の当たりにできて、非常に良い体験になりました。
アトリエの空気感も非常に良く、スタッフそれぞれがマリアケントのことを愛し、良いものづくりをしようとしていることが伝わってきました。自分たちもこうした雰囲気の仕事場をつくっていきたいと強く思いましたし、改めて本当に素晴らしい会社と仕事ができているんだなと実感することができました。
The End