現在、yoshiokubo.jpのトップページでは、先日ランウェイショーが開催された14-15A/Wコレクションのデザイン画を公開中。それに合わせて今回のPerspectiveでは、デザイナー久保嘉男が自らのデザイン画のこだわりについて綴る。
ファッションデザイナーが描くデザイン画というと、大きな画用紙にダイナミックに描かれるようなイメージがあるかもしれませんが、僕が普段描いているのはA6程度のサイズです。意外に小さいと思われるかもしれませんが、それぞれのデザイン画にテキスタイルのサンプルをつけたり、それらを一覧できるように黒板に貼り付けたりと、その後のデザインプロセスのことを考えると、このくらいのサイズが自分にはちょうど良いんです。
いま使っているノートは、8、9年前くらいにたまたま見つけたものなんですが、これがとても気に入っていて、ずっと同じものを使い続けています。ヨシオクボでは、毎シーズン100型くらいのデザインをしているのですが、1シーズンでこのノートを3〜5冊くらい使っていて、過去のシーズンのデザイン画もすべてストックしているので、気がつけばもの凄い量のスケッチがたまってしまいました。
僕はデザイン画を描く時に、顔の表情も描くようにしています。洋服のデザインが分かれば良いので、わざわざ顔まで描く必要はないのですが、それによって命が吹き込まれるような感覚があって、イメージがしやすくなるんです。ブランドを始めた当初は、トップスやボトムスなどアイテムごとに分けて、プロダクトとしてのディテールを掘り下げたデザイン画を描いていたのですが、ある時からコーディネートを組むようになり、全身のルックを描きながら、シルエットを考えていくようになりました。
また、デザイン画には絶対に色付けをしないようにしています。ファッションデザイナーそれぞれの考え方があると思いますが、個人的にはデザイン画の時点で色を決めてしまうのはどうかなと思っています。もちろん、自分が使いたい色というのはデザインをしている時点である程度決まっているのですが、そこで決め付けるようなことはしないようにしています。デザイン画というのは、あくまでもデザインプロセスのスタート地点で、その後のトワルの段階で変わっていくことも多いですし、色にしても、ディテールにしても、ここからさらにチューンナップしていくというのが自分の洋服のつくり方なんです。
The End