Perspective02: Textile Design

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デザイナー久保嘉男が、ブランドを形作る世界観やフィロソフィーをさまざまな角度から語る「Perspective」。2回目となる今回は、yoshio kuboのアイデンティティを形成するテキスタイルにまつわるブランドのこだわりを紹介します。


yoshio kuboでは、常にオリジナルの服作りを目指しているのですが、究極を突き詰めると、オリジナルの生地を作ることこそがオリジナリティにつながると考えています。メンズでプリントを駆使した服作りをしているブランドがあまりないように感じていたこともあって力を入れているのですが、ここ数シーズン、このテキスタイルがブランドのアイデンティティのひとつとしてだいぶ定着してきたんじゃないかと思います。
先日発表した14S/Sのショーでもアンダルシアというテーマを匂わすひとつの要素として、闘牛やカモメ、オリーブなどのモチーフを集めた”スパニッシュアロハ”を作りました。また、13A/Wシーズンでは、山小屋に住むアーティストのストーリーからイメージして作ったグラフィックや、カモフラージュにドットを合わせた柄など、他にはないアプローチを毎回考えるようにしています。

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yoshio kubo 13-14 A/W Collection

また、テキスタイルというのは人の肌に触れるものなので、デリケートな素材の方が良いわけですが、例えばカシミアというのは暖かく、軽くて柔らかいし、手で触れればすぐに高級な素材だということがわかりますよね。yoshio kuboでは、オートクチュールで使われるようなインポートの生地をあえてメンズに落とし込むということもしているのですが、お客さんが洋服に触れた時に、その価格に納得させられるかというのもデザインの肝だと考えています。

特にyoshio kuboは、生地に後加工をすることが少ないブランドなので、生地そのものが占める割合というのがとても大きいんです。そういう意味では生地の数は相当見てきていると思いますし、どれだけパフォーマンスの良いテキスタイルを作れるかということは、自分たちが持っている情報量に拠ってくるものなんですよね。また、半年というサイクルで洋服を作っていくなかで、生地というのは最初に考えるものであり、インポートの生地などであれば完成まで3ヶ月くらいかかるように、最も時間を費やす作業です。だから、次のシーズンの生地もすでに動いているんですよ。

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yoshio kubo 14 S/S Collection

テキスタイルのデザイナーや生地屋さんは将来のことを見据えて凄く色々なことを考えています。そうした最先端の技術というものを把握しながら洋服を作っていくということも自分たちの仕事かもしれないですし、自分自身洋服に限らず最先端の技術というのに昔から興味があるんです。例えば、今後凄く細い繊維にまで電気を通すことができるようになったりしたら、どんな洋服が作れるのか。いつかそんな洋服も作ってみたいですね。

The End