今年ブランド設立10年目を迎えたyoshio kubo。ブランドの歴史をデザイナー久保嘉男が語る10のエピソードから紐解く。
1.New York
2000年から2004年までニューヨークのオートクチュールデザイナー、ロバート・デンス氏のもとで働いていた経験はとても大きかったですね。普段から高価な生地を扱っていた経験は、ハサミの入れ方ひとつにも大きな影響を与えていますし、もちろんクリエーションの面でもオートクチュールをやっていて本当に良かったなと日々感じています。ニューヨークで働き始めて3年くらい経った時に自分のブランドをやることに決め、2004年に日本に帰ることになりました。
2.memorial board
ニューヨークから帰国して、自分のアトリエを構えた2004年4月13日に、記念でこれを掘ったんです。縁起が悪いことに、高い所に置いていたら落ちて割れてしまったんですが、祐天寺に引っ越してきて、自分のアトリエをスタートさせたとても思い出深い日で、いまでもこれを事務所に置いています。
3.D.I.Y.
2004年にブランドを立ち上げ、最初の展示会では、メンズ・レディス合わせて40型くらい作りました。縫製、パターン、サンプル制作まですべて自分たちでやったんですが、当時学生だった弟や、友人などが協力してくれたのは本当にありがたかったですね。日本のアパレルで働いた経験もなかったので、展示会用のラインシート(絵型)の作り方などもまったくわからなかったし、DMからプレゼンテーション用の映像まですべて手作りで始めたこのファーストシーズンが、自分たちの原点なんです。